結婚後、たった一つ後悔があるとするなら、それは「子作り」だ。
僕には、息子が一人いる。間もなく息子は年長さんになる。
親バカだが、生意気に、可愛く、たくましく、優しく育ってくれている。何よりも、五体満足で生まれ、大病一つなく成長をしてきた。本当にありがたい。
では何が後悔なのか?
それは2人目だ。
僕は、2人目の子作りから逃げ続けていた。「金がないから子が産めない」と何処かのロックバンドが言っていたが、そうではない。
僕は、子供は必ず一人は欲しいと言っていた。そして、2人目は求めていないとも言い続けていた。一方、妻は子供は必ず3人欲しいと言っていた。
一般的には、折衷案で2人ということになるのだろう。しかし、僕は本当に、心の底から一人で満足してしまった。
彼のために全精力を注ぎ、彼が将来困らないようにお金の準備もしている。名義預金は数百万円にもなっている。
しかし、妻は事あるごとに2人目の子作りに関して主張をしてきていた。それをやりす過ごして4年が経った。
「やり過ごした」と書いたが、やり過ごすどころか口論になったり、彼女に暴言を吐いたこともあったように記憶している。
昨年末、妻に「2人目の子作りをしてみよう」と持ち掛けた。
妻は「方針転換の原因は何?」といぶかしがる。
当然だ、4年も妻からのアプローチを拒否し続けていたわけだから、不審に駆られて当然だ。では、僕は何故子作りを持ち掛けたのか?
最大の理由は息子の懇願だ。
息子は、幼稚園に入園した頃から、「赤ちゃんが欲しい」、「なんで僕には赤ちゃんが居ないの?」と妻に問いかけ続けていた。このことは以前より妻から聞いていたが、僕に直接言ってくることはなかった。
昨年のクリスマス前日。僕は、息子を寝かしつけながら絵本を読んでいた。
突然、息子は僕に言い放った。
「僕はサンタさんが、お父さんだってことを知っている。だから、直接言うね。」
「仮面ライダーのベルトは欲しいけど我慢する。僕はお兄ちゃんになりたい。弟か妹が欲しい。」
「僕は、年中さんになって力持ちになったよ。お母さんが妊娠してもお手伝いができる。赤ちゃんが生まれたらお世話だってできるよ。」
これは率直に言ってきつかった。参った。どっちが大人か分かった物じゃない。
言う場所、タイミング、気を遣った言い回し。ぐうの音も出ない。降参。
この出来事が方針転換の理由だと妻に話した。妻は理解を示してくれた。
それから丸3カ月が経過した。
2人目の子作りに励んでいるが子供はできていない。
一人目の時は、すぐ妊娠した妻だが、37歳ともなると年齢の壁があるのだろう。
歯痒い。
思い返せば、結婚すると決めたとき、息子が生まれた時、多くの諸先輩方から言われたセリフがある。
「間髪入れず2人目を作れ」と。
欲しいと思ったとき、準備が整ったときには出来ないもんだ。
今更ながらこの言葉の深さを理解した。
この先、僕の周りで結婚する知人友人が居たら、僕もこの言葉を贈ろう。
今日、二人目が生まれました。
実兄からメールがありました。
今の今まで知らなかった。
タイミング悪いなぁ。
競う性質のものではないが、きっついなぁ。
『 結婚後、たった一つ後悔があるとするなら子作りのタイミングだ。』
なにはともあれ、兄貴おめでとう。
ではでは。