家の近所にあったアピタが、ドン・キホーテに改装されて一ヶ月が経過した。
妻曰く、家電・雑貨・衣料品だけではなく、生鮮食品売り場にもドンキホーテ流のノウハウが散見されるという。
既に妻は、何度も買い物をしており、ドン・キホーテの虜になっているようだ。その理由を聞くと、「アピタの頃よりお買い物が楽しいの」とのこと。
「お買い物が楽しい」をさらに深堀すると、商品点数が多く目移りする・発見がある=お買い物が楽しい、ということのようだ。
妻の「ちょっとドンキに行ってくる」が、ちょっとの時間感覚を超えている。
ドンキホーテに誑かされている人妻。
やらし。ちょっと嫉妬。
ある日、妻が冷静な顔をして、僕に詰め寄ってきてこう言った。
「ドン・キホーテが本性を見せてきたかもしれない・・」と。
「特売 しいたけ 1円」に釣られて行ったら、「特売 しいたけ g1円」だったそうだ。しいたけは袋単位で売られており、小ぶりのしいたけが15個~20個ぐらい入っているという。
グラム単価である為、どの袋を選ぶかによって価格は異なるのだが、見渡す限り300円より安い袋は見当たらなかったとのこと。
「ほお・・?それで?」
「は?それでって・・?あなたにはわからないの?」
「何が?」
「しいたけを買おうと思ったときに、最低でも300円は支払わなければいけないということの意味が!」
「グラム表記を見落としていた、嫁ちゃんにも落ち度があるよね?」
「そんな話をしてるんじゃないの。あのね、たしかにグラム1円という打ち出し方で人目を引くことは理解できるわ。でもね、しいたけというものは通常ワンパック単位で、5個~8個前後入っていて160円ぐらいなのね。それが、これまで、このアピタを使ってきた主婦の感覚なの!」
「わたしが言いたいのは、グラム表記で錯誤誘因しておきながら、結果的に通常の倍近い単価を支払わせようという行為に主婦への応援を感じないということなの。不誠実だと言いたいのよ。」
「・・・なるほど、でも15個も入っていたなら、一個単位で割り戻せば損をしているということにはならないんじゃないかな?」
「・・・あなたのその考え方、好きじゃないわ」
「好きかどうかではなく。理屈はあってるやん?」
「そうね。理屈はね。でも理屈じゃないの。いい、どこの世界に小ぶりのしいたけが15個買えたわッ♪て喜んでいる主婦がいると思うの?申し訳ないけど、しいたけってそういったポジショニングの食材でしょ?大多数の平均的な主婦にとっては『なくても困らない食材』のはずよ。」
「・・・そうかなあ・・、俺は好きだけどな・・」
「は?おまえの晩御飯しいたけ漬けにしてやろうか?今晩のメニューを想像してみて、しいたけのお吸い物、しいたけと卵のいりつけ、しいたけの天ぷら・・・」
「申し訳ありませんでした。」
「わかれば、良いのよ。」
この手の話題で、妻には逆らってはいけないと痛感した。
ではでは