kaminomania ~倒産前に転職をした36歳会社員のアレコレ

会社の経営危機で36歳で倒産前に転職をしたアレコレ

言い方や手段を選んだって仕方ない、そんなプレゼンもあるさ。

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当社とタッグを組むデザイナーのプレゼンを聞いていた。プレゼンの相手は施主だ。

若いデザイナーは建物の立面パースを見せて、プランを語り始めた。

 

僕にとっては大きい案件だった。不動産も・指定工事請負契約も取れたので、フィーも良かった。

また、それだけではなく、施主のネームバリューも魅力的だ。著名人の案件を手掛けるとなれば注目が集まる。

 

そういった大切な案件という理由もあるが、少し気になることがあり、普段は参加しない、他部署のプレゼンテーションに同席をした。

 

 

開始5分で、施主はみるみる不満をあらわにした。

「もう結構。もう少し考えて頂いて、来週お会いしましょう」と言い放つ。

 

デザイナーは、みるみる生気がなくなっていった

「グウ・・」の音も出ない。

 

僕は、人がみるみる生気がなくなっていく過程を初めてみた。こんなに白くなるんだなと感心した。

 

 

 「ダメではないが、つまらない。どうしたいの彼らは?」

 僕は、施主に呼び出しを受け、お叱りを受けた。

 

 

「知らんがな、管轄外だ」

と言いたいがそれは言わない。この施主だったら、あのプレゼンを聞いたら「そんなこと言うんだろうなあ」と思ってはいた。想定の範囲内だ。

 

 

「もし、次もダメなら、コンペにするから」 

そう言われた。僕としてはどっちでも良い。指定のデザイナーは居ないと言われたので、提携しているデザイナーリストを提示し施主が選択したに過ぎない。

 むしろ、施主がどこかからデザイナー連れてきて、「この先生に絵を描いてもらうから」と言い切ってくれればやりやすいぐらいだ。

 

 

とりあえず、施主のご意向を、設計会社とデザイナーに伝えた。

 

 

「すいません。そこまで考えれていませんでした。」

 そう言われ、頭を下げられた。

 

 

うんうん唸ってひねり上げてきたんだよね?じゃあ、ちゃんと考えているよ。

 

君らデザイナーとしてプロだし、メインでは無いけど何回かは作ってるじゃん。ある程度の「型」があるじゃん?それを踏まえてのプレゼンだったわけでしょ。だから、考えてないなんて安直に言わないで欲しいな。 そんなことを、老婆心ながら若いデザイナーに言った。

 

まあ、それは良いとして・・

 

問題は「プレゼンの失敗の原因に」気づいていないということだ。何がダメだったのか教えて欲しいと請われた。

 

顧客に想いをはせて、顧客に乗り移った気持ちになって、プランを提案することは大事です。でも、今回の場合、問われていたのは「あなた」です。

今勢いのあるデザイナーが、この物件にどう息を吹き込んでくれるのかを問われていたということです。

 

 

  そもそも、言い方や手段を選んだって仕方ない、そんなプレゼンテーションだったんだよ。

 

 

いるでしょ。「君の本質を見せてみろ」って斜に構えてるスタンスの人。

そういう施主なんだから仕方がない。

 

寄り添ってもダメ、置きに行ってもダメ、探りに行ってもダメ・・

「俺なら、こうできる」を言わないと。

 

 

デザイナーには、そんなことを伝えた。伝われば良いが釈然としない顔をしている。

「いやいや、僕達がやってるの商業デザインですよ?」

「納期も予算もあるし、アーティストじゃないんだから。」

って顔している。

 

 

でもさ。でもさ、良かったね。

自分のやりたいようにやれる仕事なんて、そうそうない。

 

 

何の業界でも、デザイナーと言われる職域ぐらいじゃないかな。

「ちょっと先生、遊んでみてください」

「〇〇君の感性で、ちょっと揉んでもらえません?」

なんて言ってもらえるの。

 


それって、結構最高だよ。

それをやれって言ってくれるお施主さんなんだから。

 

 

そういう案件に会えてよかったね。

きっと得るものが多いよ。頑張れ29歳!