kaminomania ~倒産前に転職をした36歳会社員のアレコレ

会社の経営危機で36歳で倒産前に転職をしたアレコレ

陳腐化?斜陽産業?不動産業界でも「上流工程」を選べ

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転職をして約2カ月が経とうとしています。

 

今回の転職において、給料、労務環境、通勤手段、会社の安定性もさることながら、企業選択において重視していたポイントがありました。

 

①業界の何処を目指すか

 

②経営陣の考え方は適切か、自分に合っているか

 

この2点です。

 

今回はこの「①業界の何処を目指すか」ということを書いていきたいと思います。

 

陳腐化された業界・斜陽産業は選んではいけないの?

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 陳腐化された業界・斜陽産業というのは、これから大きく伸びることがないと言われる業界です。

 

 これらの業界では、「業界内のどの会社がこれ以上頑張っても、従来品と新商品と機能的に大差がないものしか生まれない」という状況になっているのです。

この結果、新商品の価格は従来品の価格と据え置きか、値下げしないと採用してもらえないという状況が常態化します。

 

業界全体が値下げ祭りの様相を呈してくると、そのしわ寄せは、取引先へのダンピング、従業員への給料・待遇の悪化につながるのです。

 業界全体がこうであると、営業職にせよ、技術職にせよ、辛い環境が待っています。

 

それゆえ、貴重な新卒カードを切ってまで選択する業界ではないと言われているのです。転職においても避けたい業種であることは間違いないでしょう。

 

というようなことが、就職本には書かれています。

 

陳腐化・斜陽産業以外に選択肢がない

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そんなこと言われても、「物流業界しか居たことがない」、「この業界しか内定貰えなかった」、「斜陽産業と言われても出版業界にしか興味がわかない」という人が圧倒的多数なはずです。

というか、「1流以下の文系学生が進める業界のほとんどは成熟産業であり陳腐化している」という意見もあります。

 

ちなみに、僕の転職先は不動産業界です。新卒からずっと不動産業界で転職を繰り返し現在4社目です。これまでに、サブリース業、賃貸業、開発業に携わってきました。

ご存じの通り、不動産業界は大昔から存在している業界であり、全く洗練されていない業界です。法整備やハード面においても、大きな変化がほぼ起きない閉鎖的で排他的な業界です。

 

サブリース業、賃貸業、開発業を平たく言うとこうなります。

・サブリース業 (股貸し屋さん)

・賃貸業(大家さん)

・開発業(地上げ屋さん)

財閥系の不動産会社の営業マンが物件を探す・開発する行為と、地場の中小の不動産会社の営業マンが物件を探・開発する行為に本質的な違いはありません。

アプローチ手法も、悩み苦労も、身につく能力も同じです。違う点は、得られる給金とステータスだけです。(安定性はあるところはある)

 

業界紙を読んでも、「スマートロック」、「IT重説」、「VR内覧」ごときで、「IoT」とか、「不動産×テック」なんて言っているような業界です。このように笑っちゃうぐらいアナログなんです。

イノベーションが期待できず、旧態依然とした業界を「受けてしまい内定が出そう」、「昔からの夢だ」、「業界選択の自由がない転職を繰り返した」のであれば、少し立ち止まって考えていただきたい。

 

業界内の立ち位置で大きく変わる

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 選択しようとしている勤務先は「業界の中のどの位置にいるのか」を真剣に考えたか?ということを問いかけてみてください。

 

僕は事業用の不動産業界しか知らない為、「事業用不動産業界」を例に挙げます。

戸建て分譲やマンション販売ではなく、倉庫業、オフィスビル、テナントビル、商業モール、商業集積地開発しか知らないという前提で書いていきます。

 

事業用不動産の業界で言えば、「貸主会社(不動産オーナー会社)」、「デベロッパー(開発業者)」、「管理会社」、「仲介会社(売買・賃貸)」の4つのポジションがあります。中でも、出来るだけ上流工程の「貸主会社」への就職を目指すべきです。

貸主会社=地主or建物所有者です。具体的には、三井不動産・三菱地所・住友不動産・東急不動産・野村不動産・森ビル・イオンモールといった大企業や、地場の不動産所有会社を指します。

 

先に挙げた三井不動産や三菱地所等の大企業は、「貸主会社」であり「デベロッパー」でもあります。地場の不動産業者でも、やっていることは同じです。また、金融会社などがファンドで不動産を保有している場合ケースもあります

 

就職先として「不動産のオーナー会社」を選択する理由は、「消滅しにくい」、「再編に巻き込まれにくい」、「景気に左右されにくい」の3点です。

この中で、もっともわかりやすい「景気に左右されにくい」という点を見てみましょう。

 

例えば、「管理会社」は、管理フィーの見直し減額を常に迫られ、委託業務の範囲の縮小・委託の打ち切りを求められ売り上げが減ります。

なぜなら、どこの管理会社に頼んでも「請け負う業務の範囲に大差がない」からです。

 

次に、仲介会社は、不況時には出回る物件が減少し、購入希望者が減少します。仲介会社は手数料商売です。仲介件数が減れば売り上げが減ります。

また、それ以前に不動産はどこの仲介会社に頼んでも「決まりやすい物件は決まりやすく、決まりにくい物件は決まりにくい」という性質もあり、法定上限の手数料を請求できる物件か、そうでないかは初めから決まっていると言っても過言ではないのです。

なぜなら、決まりやすい物件も決まりにくい物件も、同じものは二つとなく、一点ものだからです。

 

ちょっと乱暴ではありますが、的はずれていないはずです。

 

さて、不況となれば貸主会社も無傷ではいられません。「賃料の減額交渉」、「入居者の滞納・退去・倒産」により、稼働率が低下・家賃収入の減額リスクに見舞われます。

とはいえ、家賃が払えなくて退去する人がいれば、高い家賃のところから自分の物件に入居してくる人もいます。

賃料減額と言っても10%以上の減額になるケースはあり得ないです。また、入居者が全員一斉に破産することもあり得ないです。

 

貸主会社ではビジネスマンとして獲得できる能力も異なります。「貸主会社」では、担当する物件の築年数、立地、賃料相場に応じて、物件を変化させていくような企画力・戦略が求められるからです。

築年数が浅ければそれだけで集客力がある物件も、競合他社の出現や、物件の陳腐化により集客力は減少をしていきます。

内装設備のリニューアルから、テナントの入れ替え、物件の種目を変えてしまうようなコンバージョンに至るまで、最低でも新築から30年は考え続けなければいけません。(保有し続ける前提で)

 

仲介会社は「今あるいくつかあるものから提案して、顧客に決定を迫る」商売です。管理会社は「どこに行っても同じものを、価格勝負で提案する」商売です。

それに対して、視点が深く長いのが「不動産オーナー会社」の商売です。

 


業界勢力図を把握

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このように、「陳腐化された業界」、「斜陽産業」と言われる業界であればあるほど、その会社の立ち位置を確認するという作業はとても大切です。

 

  • 業界の上流工程にいる会社なのか?
  • 供給側なのか?中間業者なのか?末端なのか?
  • 商材の企画ができる立ち位置か?決められたものを売るだけなのか?
  • 値付けの決定権があっても、ダンピングに巻き込まれる受託側ではないか?

 

人手不足の売り手市場の今だからこそ、身の丈よりもワンランク上の企業に就職できる可能性は高まっています。

大企業もいつ倒産するかわからない時代です、売り上げや、企業規模、歴史、ネームバリューに惑わされず、本質を見極めていただければと思います。

 

 テクノロジーとの融合が遅れている不動産業界において、先に挙げた「IT重説」、「VR内覧」、「スマートロック」の標準化が何をもたらすのか?

大きなイノベーションのない不動産業界でも、この程度の変化で緩やかな人員解雇の波が起きています。

 

あなたが、就いている仕事が、就こうとしている仕事が、テクノロジーやAIに脅かされるまで、あと時間はどれぐらいあるのか?
 
AIやロボットが引き受けることが難しい、保育園や幼稚園の職員や、カウンセリングを提供する臨床心理士、スポーツトレーナー等を除いて、言語の翻訳は2024年までに、高校生レベルの論文執筆は2026年までに、トラックの自動運転は2027年までに、小売り店舗での勤務は2031年までに、ベストラー書籍の執筆なら2049年までに、外科手術は2053年までに機械が人間を上回るとの報告書もある。
 
一部抜粋:「みんなにお金を配ったら」アーニーローリー著2019年
 

 

みんなにお金を配ったらー―ベーシックインカムは世界でどう議論されているか?

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いつ、後ろ盾を失ってもいいように、業界における自分の価値を自問自答することが大切だと、危機感を持ち続ける必要があると思っています。
 
 
ではでは。