現在30歳の彼は、東証2部上場の企業に勤めており満足のいく給料を得ている。
26歳で結婚し27歳で第一子を授かり、現在3歳になる息子がいる。
そして、東京23区内に家を建築した。もちろん両親から多額の援助があった。
彼には、会社員としての収入以外に、WEBアフィリエイトで月に10万円程の収入を得ている。
副業で得た収入の半分は高級車を購入するための頭金として貯蓄し、残りの半分で投資信託を購入している。
両親は健在だが、将来的には東京23区内の時価8000万円程の実家を相続することになるそうだ。
そんな彼が、「先輩、俺、時々いつ死んでも良いって思うんすよ」と言っていた。
家柄に恵まれ何不自由なく生きてきた。二流大学出だけど、背伸びして滑り込んだ勤務先で頑張ったら収入と役職がついてきた。そして、家族も家も手に入れた。
けっこう、男としてやるべきことやったじゃん、俺、大したもんじゃんって思うんすよ。だから、「いつ死んでも良いって思うんすよ。マジで。」と言った
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好事魔多し。
20歳から切り拓く己の人生約60年。
そのうち、10年目までが幸せだっただけじゃないか。
11年目には子会社に出向になっているかもしれない。
13年目には建てた家が水に流されるかもしれない。
15年目には息子が不登校になっているかもしれない。
17年目には子会社の正社員ではなくなっているかもしれない。
19年目には、妻に乳がんが見つかるかもしれない。
30歳からの向こう10年間が幸せである保証はどこにもない。
禍福は糾える縄の如し。不幸な出来事は必ずやってくる。
その時に家族を守らなければいけない。そういった責任を背負っているのが世帯主だよ。
勝手に好きになって結婚して子供作って住宅ローン抱えて、これ全部お前が勝手にやってきたことじゃん?そんな一切合切を妻と子供に押し付けてはいけないよ。
勝手にこさえたもの残して、「いつ死んでもいい」なんて、無責任な言葉をお嫁さんの前で口にするんじゃねぇ。
お互い必死に、長生きして見届けようぜ
追伸:お前が、副業で10万円稼いでいる手法は、俺が教えたやつじゃんね。俺はもう稼げなくなってるから注意した方がいいよ。
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ということを、新築祝いに伺った席で、べろべろに酔っぱらった建築主に言い放つ程、僕は無粋ではない。
万が一言い放ったとしても、現実はドラマチックな仕上がりにはならない。
だから、後日上記の内容をそっとLINEしておいた。
彼のおかげで、僕はもっと長生きをしたくなった。
ではでは