愛する妻が、「外でアルバイトがしたい」と申し出てきた。
妻が、近所に出来る大手外食チェーンの「アルバイトスタッフ応募のチラシ」を見せてきた。
「構わないけど、なんで?」
「子供も幼稚園に入ったのでそろそろ外で働きたい」
「本当の理由は?やっぱり僕の勤務先が倒産するかもしれないからでは?」
「ない。家で仕事するのは飽きた」
「ほんま?俺の勤務先のこと、関係あらへん?」
「ない。どうせあなたは何やってもそこそこ稼ぐから心配してない」
おお、嫁ちゃん男前。結婚して良かった。
で、話はそれましたが、面接&説明会みたいなものがあるから明日行ってくると。
事前応募や履歴書も必要ない、とりあえずいけば良いとのこと。
僕の転職のプロセスとは大違いだ。それほど外食企業のアルバイトは人手不足なんだろう。それとも、この採用手法が合理的で現在では当たり前なのかもしれないなと考えた。
妻のアルバイト候補先の面接説明会が終わった日の夜、僕は通常より早く帰宅した。
もちろん妻の話を聞く為に、あえてだ。
妻は、6年ぶりに外で働くことに「やりがい」を感じている、その盛り上がりをちゃんと聞いてあげる為だ。部下と同じだ。批評や否定はダメ。共感➡承認➡激励が大切なのは夫婦関係でも同じだ。
妻は、「配置希望のこと」、「シフトの融通のこと」、「制服がナチュラル系で可愛い」、「店長がハゲている」等、とても楽しそうに話しをしてくれた。
そして、説明面接会場にいた4人ぐらいのママさん達と1時間ほど、お互いのアルバイト事情等の情報交換をし、LINEを交換して解散したという。
「LINE交換をして解散した?」
「早すぎないかい?」
ここから、LINEの交換までの距離・時間に関して、お互いの意見交換会が始まった。
「LINEの交換は意外と簡単にするよ。もちろん女同士でね。」
「むしろ、LINEは知ってるけど、携帯番号知らない人の方が多い。」
「スマホのEMAILアドレスはほとんど知らない。」
色々と衝撃だった・・。
個人の性格もあるだろうけど・・。どちらかというと男性は逆パターンが多いのではないだろうか。まあ、スマホのEMAILアドレスは男もほとんど知らないけど。
男の場合、誰かと知り合い、連絡先を交換する場合は、まず電話番号をそれとなく聞くことが多いのではないだろうか。LINEを聞くのはもっと仲良くなってから、という感覚が無いだろうか。
なので、今日初めてアルバイト先の面接説明会で出会った4人の女性と、LINEを交換してきたという妻の発言が衝撃的だったのだ。
アルバイトに落ちるかもしれない(この人手不足に落ちることはないだろうけど)、受かっても行かないかもしれない、いくら新店のオープニングメンバーとは言え、顔合わせの時とかで良くない?
つまり、今日今このタイミングが「LINEの交換マデする距離になってないだろう?」と僕は思ったと妻に言った。
いや、そもそも「何処の誰かも知らない」わけだ、もしその内の一人が「アムウ●イ」にハマっていたらどうすんの?そんな人とラインでつながったらめんどくない?
嫌だよ俺。もしさ、半年後に嫁ちゃんが「私もエメラルドディストリビューター目指すの!」、「今日もママ会で、鍋デモとマーケティングがあるの!」なんて言い出したら目も当たられない。とも言った。
「相変わらず妄想の飛躍がすごいね。」
「LINEの交換マデの距離になっているか?、いないか?と考えちゃう、理屈を探そうとする。それが男と女の違いだよね」
と褒められたのか、いなされたのか、見放されたのかよくわからない返答をされた。
「もっと、気軽にLINEの交換を持ち掛ける・・」
なるほど、勉強になった。
明日、妻にLINEの交換を申し出てみよう。
「え?」
「ん?」
はい。僕達夫婦はLINEの交換をしていません。
特に理由はありません。ただ、タイミングを逸しただけです。
「明日、僕は言えるだろうか?」
ありがとうございました。