「以前はそう思わなかったけど、最近のご主人良いね。うらやましい。」
先日、緊急事態宣言が解除され、妻は仲良しママ友メンバーでお茶をしていた。
皆で近況を話し合っていたところ、一人のお友達がそのように言ったそうだ。
はい。僕のことです。照
「この僕が褒められている」ということだ。
妻は嬉しかったのか、僕に話をしたくれた。
僕も、人づてであってもお褒めの言葉を頂けると素直に嬉しい。
しかし。引っ掛かる。
「以前はそう思わなかったけど」って言葉。
不必要だ。わざわざ言う必要は無かった一言。
相手をハッピーにさせることは無いどころか、お友達自身が窮地に追い込まれる危うい言葉だ。
僕の妻は、菩薩のような寛大さ(鈍さ)を持つから事なきを得たものの、普通の感度であれば問題発言だ。
「あなたのご主人を良くないと評価していたけど、改善の傾向が伺えるから良いですね」と言ったことで、友達関係が崩壊するかもしれないと想像が出来ないのか?
そもそも、以前の僕の何を知っているのだろうか?
僕の妻から聞いた些細な話だけで人を評価する習慣が出来上がっているとしたら相当危ない思考回路だ。
「以前は好きになれなかったけど・・」、「本当は、そうでもないけど・・」的な枕言葉をいちいち使うどんな人なのだろうか?
- 「物事はきちんと時間をかけて精査するタイプの人間です」的な?
- 「私、外見ではなく内面重視の人間です」的な?
「私はちゃんとした大人です」アピールをしがち性分なのだろうか。
日々の雑談の中にも、同僚や友人・知人の中にもこの傾向が顕著な人がいる。
例えば、あるサービスがあったとして「ねね、〇〇って知ってる?」という問いかけに対して、「○○?知らないな」、「○○?名前だけは知ってるよ」、「○○?使ってるよ」ぐらいの3パターンが会話の応酬の第一ステージと捉えている。
でも、わざわざ「○○のことは以前から知っているけど、利用したことないな」と言う必要はあるのだろうか?
ただの雑談なのに、このストレートじゃない感じ、「このメンバーの中では、知っている側」に立ちたがる感じ。不愉快だ。
ストレートに、「○○のことは知らない。利用してるの?」、「○○は利用したことない。いいのかな?」で良くない?
こういった余計な一言が、話題提供者の意気をそぐのだ。これ、ビジネスや上下関係が明確な場面であれば致命的だ。
教えてあげようという気が失せるのだ。結果、余計な一言を言う人は損をする。
さらに、このタイプは無自覚であるケースが多い。だから余計に可哀そうだなと思ってしまう。
でもこれは、序列の優位性を堅持したがる性格が影響しているんだろうなと思っている。
今風に言えばマウントを取りたがるタイプ。
妻が、僕のことをどのように話していたかは知らないが、想像にたやすい。
以前の職場では、接待や会食で毎晩帰ってこないとか、家庭を顧みない働き方をしていたが、今は違う。といった程度の話だろう。
人間、転職をすれば、取り巻く環境や、付き合う人種、お酒の飲み方も変わってくる。ということぐらい考えられるはずだ。
また、相手が、謙遜を込めて自虐エピソードを提供しているに過ぎない。ということが分からないのだろうか?
これはもう、想像力の欠如だ。
配慮不足。非常に残念である。
「その子、想像力が皆無だから付き合い止めたら?」
僕は、妻に、言えない。
言いたいけど言えない。こんな言葉を、妻に向けて放つとどうなるか?
それこそ想像力が欠如している。もはや、世帯主としての資格はない。
結婚してはいけなかった人物なのだ。
妻が傷つけられていないなら、僕が介入する必要はないと思っている。
何もそんな一言で目くじらをたてなくても・・。
いやいや。皆、たった一言で全てを失う世界で生きてるじゃないですか。
だったら、その一言は見逃してはいけないのだ。
もちろん自分の為に。
今回の出来事は、多少なりとも負の感情が動いた瞬間だ。
だからこそ大切にしたい。
自分が、無自覚に無神経な言葉を発してはいないか?と省みる絶好の機会と捉えて。
ではでは