こんにちはkamiです。
今日のほっこりしたエピソードです。
今日、古民家の引渡しがあった。
代々、様々な所有者を経て100年は経っている由緒正しい物件だ。
この物件、長らく、富裕層が集まる飲食店・社交場として機能していた。建物所有者自身がお店を経営していたが、半年前から体調を崩して閉店していた。
「価値の分かってくれる方に、お譲りしたい。」というオーダーを引き受けた。
そんなオーダーを引き受けて、僕は奔走していた。古民家は素人が想像するより、修繕コストがかかる。決して立地も良くない。後継者となる方もそれなりの実績のある方でないといけない。
苦戦する案件だったが、4か月かけて後継者を見つけ契約を成立させた。今日は、所有者から、後継オーナーへの引渡しとなるおめでたい日だ。幸い、天気も良く気持ちがよかった。暑すぎるくらいだ。
約束の時間に到着すると、所有者のご婦人が、いとおしそうに入口の扉や格子を雑巾で拭いていた。打ち水もまかれていた。
「お暑い中ありがとうございます」とお声を掛けた。
「今日は、若い方の門出ですからね。これくらいは。」とご婦人。
「想い」が詰まっている。意図を察知して、頭が下がる思いだった。なかなかこんな貸主はいない。
時間になり関係者がそろった。引渡しの実務を行った。約束通り片付けが出来ているか、修繕が出来ているか、所有者しか知らないことを引き継いでいただく。細かく、確認しながら説明をしていただく。
一時間半はかかっただろうか。全ての確認作業が終わり。電気を消し、ブレーカーを落とし、元栓を閉め、鍵を引き渡す。
それでは解散と、皆で外に出た。
ご婦人はまだ掃除をしていた。
ご婦人の他3人の男性が、建物の窓や格子を雑巾で拭いたり、ほうきや塵取りをもって作業をしていた。
業者だろうか?暑い中大変だなと思った。
3人の男性が、玄関から出てきた我々を見て「お疲れ様です!」と元気のよい挨拶をしてきた。ご婦人が、「素晴らしいお弟子さんたちですね」と発した。
ーーーーああ、ちゃんとしているなと。
引渡しが1時間程度で終ると見込んだ後継オーナーが、新店舗を見せるために弟子を呼んでいたのだ。「これから、お前たちが盛り上げる店だぞ」そんな計らいからだ。
そして、貸主のご婦人が暑い中作業している姿を見て、自発的にお手伝いをしたということだ。
きっと、こういう店はうまくいく。
良かった。
こういった方々のお取引を取りまとめることが出来て。