kaminomania ~倒産前に転職を試みる35歳会社員の奮闘記~

会社の経営危機で転職活動中の35歳係長が日々のあれこれを綴ります

失踪した女子社員から今日・・。

スポンサーリンク

 f:id:kami2775:20190614231052j:plain

 

彼女は「kamiさん、聞いてください!彼氏が出来たんですぅ!」と、ふくよかな体をゆすって僕のデスクに近寄ってきた。

 

初めての、ちゃんとした彼氏だそうだ。ちゃんとした彼氏の定義がよくわからんが、アバンチュールの一つや二つはあるんだろう。24歳なんだから。

「痩せたらモテるよな」というタイプの容姿だ。口は悪く弁が立つ、仕事は早い、そんな部下。

 

 

24歳の女子社員と42歳の自営業男性のカップル。

 

 

ほぉ・・。なかなか。

 

 

●失踪した経歴を持つ女子社員

この女子社員は、約2年前にちょっと失踪した。といっても、4日間だけ。結局は無傷で戻ってきた。その後、半年ほど僕の下で事務社員として勤めて退社していった。

失踪の理由は、18歳差の彼氏と盛り上がりすぎて、結婚したいと親に伝えると猛反対され、家を飛び出し・・・、というものである。まあ、ありがちと言えばありがち。

で、その4日間どうしていたのかというと、表向きには知人の家に転がりこんでたことになっている。

 

 

実は、違う。

 

あ、もちろん僕の家で匿っていた、というような話じゃない

 

●僕だけが知っていること。

親も行方不明の届けを出し、直属の上司だった僕はアレコレ対応に追われた。一番対応に苦慮したのは彼女の親御さんだ。

 

会社の事や上司である僕の事を、親との日常会話で話していたようで、「何か聞いているんじゃないか?心当たりがあるんじゃないか?実はかくまっているんじゃないか?今日は何か思い出したことが無いか?僕の携帯から連絡すればリアクションがあるんじゃないのか?・・・」等、何回も電話があり、対応していた。一回の電話がとても長かった。

 

4日目に、僕の会社携帯に彼女から電話があった。「ご迷惑をおかけしました」と・・。

別に、泣いてるわけでも、落ち込んでるわけでもなく、いつもの感じの声で、逆に怖さを感じた。話を聞きき、とりあえずこの電話を切ったら、すぐに親に電話して、実家に帰る旨連絡をするようにと伝え電話を切ろうとした。

 

 

 

その時、彼女から問いかけがあった・・・

 

 

 

 

「kamiさん、私今どこにいると思います?」

 

 

 

「ん?何処に?」

 

 

 

「福井です。さっきまで、崖の上でした」

 

 

 

「マジ?」

 

 

「はい。でも飛び降りてないですよ。思いのほか観光地化してるんですね。」

 

 

「何しに、崖に向かおうと思ったの?」

 

 

「こういう時って、睡眠薬からの、身投げかなと思って」

 

 

「持ってるの?睡眠薬」

 

 

「はい。お茶も買いました。」

 

 

「そうか。」

 

 

「でも、親に電話して、ちゃんと自宅に帰ります。」

 

 

「そうだね。明日は休んで、彼氏さんとか家族とちゃんとお話ししてきなよ。」

 

 

「はい。ご迷惑をかけて申し訳ありませんでした。」

 

 

「いや、別にいいよ。たださ、身投げ案と睡眠薬は黙っておいた方がいいと思うよ」

 

 

「何でですか?別に飲んでないし、生きてるし」

 

 

「いやそうじゃなくて『重い』から。彼氏が引いて逃げちゃうかもよ?困るだろ?」

 

 

「はい。困ります。わかりました。黙っておきますね」

 

 

「なんで、俺にこんな話したの?」

 

 

「kamiさんには知っておいて欲しかったから。」

 

 

「・・・。」

 

 

「kamiさん、二人だけの秘密ということで」

 

 

「そ、そうだね・・。」

 

 

そして、電話を切った。

 

●感受性の高い若人に申し上げておきたい

一言良いですか?

 「上司は業務以外の相談は受け付けたくありませんから。」

 

 一言良いですか?

「聞かされた相手の気持ちを考えようね。」

 

一言良いですか?

「二人だけの秘密です」とか、そういったキーワードが一番卑怯。。

 

 

 

感情の暴走と言ったら良いのか・・。若さゆえの視野狭窄なのか・・。

恋は一途ということか。

 

このエピソードに限らず、若すぎるが故の、「ああ、この人は悲しいことからの逃れ方を知らないんだろうなぁ」と思う事件が増えているように思う。

 

悲しい事から逃げ出すときに、他人を巻き添えにしてはいけない。それは、肉体的なことだけじゃない。精神面でもそうだ。「二人だけの秘密」なんてキーワードはまさにそれ。

 

上司として敬意や親愛の情を持ってくれているんだと思う。そのことは、上司として素直にうれしい。でも、言葉の使い方を間違えると無関係な他人を巻き込むんだよ。自分ひとりで背負うべき罪悪感を、他人に共有させるということはダメだ。

 

後日、こんな風に叱った。

 

 

それから、一年以上が経った。

 

今日、彼女から結婚パーティーのお知らせを受け取った。

 

 

 

うれしいなぁ

 

おめでとう。