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又吉直樹「火花」 良かったね

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又吉直樹さんの「火花」良かったね。

なんじゃこのタイトルは。

 

物語の「ヤマ」が緩やかなので盛り上がりに欠けるのと、物語の大オチである「おっぱい」に関しては・・・。どうなんだろうね(笑)

 

「火花」っていつの話だ?

2015年、芥川龍之介賞受賞だそうだ。流行りものには飛びつかないのと、意図して避けていた作品だったので、気付いたら4年も経っていた。

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

2015年当時は、「芸人が書いた、売れない芸人の揺れる心情を描いた作品」と認識していた。それを聞いた時点で読む気が失せていた。

 

元芸人が書いた初小説だからこそ、芸人ではない題材を描いたほうが、「お、やるやん」って思っちゃうのにとか感じていた。(僕の場合はね)

 

更に、即映画化される流れも、盛り上がりに欠ける文學界に現れたスターに用意されたレールに見えちゃうし、2015年の芥川賞は出来レースだったんじゃないかと穿って見ていた。

 

又吉さんが、読書家であるとも知っていたし、彼が醸し出す空気は好きだ。でも、ピースのコントは好きじゃない。ところでピースのネタってどっちが作ってるんだろうか?まあどっちでも良いけど。

 

さて、2015年の芥川龍之介賞を「火花」は受賞したわけだが、他の選考作品と比較して受賞にふさわしかったのかどうか?はわからない。

才能とか感性が問われるようなものを職業にした人や、夢を追いかけたことのある人は読んでみるといい。どこか心揺さぶられるかもしれない。

 

徒弟関係に近いような環境に居るのであれば、師匠より自分が売れ始める場面はリアリティーが感じられて、感情移入しやすいだろう。

心理描写の炙り方というか、心の機微を情熱的に描いた作品として受賞にはふさわしいのかもしれないと一定の納得を得られる読後感だった。

 

 

 

 

この作品の後半にやってくる場面を文字で起こしてみた。物語を印象付ける場面だ。

 

 売れ始めた主人公が、エゴサーチで見つけた自分宛ての批評に一喜一憂していることを打ち明ける。

匿名の言葉はより人を傷付ける。頑張っている人の努力をいとも簡単に砕く。言葉一つで、世の中には自殺をしてしまうような人も多い。それがわかっているのに、悪意のある人は書き込みを止めない。

 

この悩みに対する師匠の回答が、見開き半ページに渡って描かれているのだが、これがもう秀逸。

 

僕は、ここで心が動いた。

 

 

 

↓ 興味のある人はどうぞ。

 

「だけどな、それがそいつの、その夜、生き延びるための唯一の方法なんやったら、やったらいいと思うねん。俺の人格も人間性も否定して侵害したらいいと思うねん。きついけど、耐えるわ。俺が一番傷つくことを考え抜いて書き込んだらええねん。めっちゃ腹立つけどな。でも、ちゃんと腹立ったらなあかんと思うねん。受け流すんじゃなくて、気持ちわかるとか子供騙しの噓吐いて、せこい共感促して、仲間の仮面被って許されようとするんじゃなくて、誹謗中傷は誹謗中傷として正面から受けたらなあかんと思うねん。めっちゃ疲れるけどな。反論慣れしてる奴も多いし、疲れるけどな。人を傷つける行為ってな、一瞬は溜飲が下がるねん。でも、一瞬だけやねん。そこに安住している間は、自分の状況はいいように変化することはないやん。他を落とすことによって、今の自分で安心するという、やり方やからな。その間、ずっと自分が成長する機会を失い続けてると思うねん。可哀想やと思わへん? あいつ等、被害者やで。俺な、あれ、ゆっくりな自殺に見えるねん。薬物中毒と一緒やな。薬物は絶対にやったらあかんけど、中毒になった奴がいたら、誰かが手伝ってやめさせたらな。だから、ちゃんと言うたらなあかんねん。一番簡単で楽な方法選んでもうてるでって。でも、時間の無駄やでって。ちょっと寄り道することはあっても、すぐに抜け出さないと、その先はないって。面白くないからやめろって」

 

 

 

自らの器量の大小や、おもねらない生き方とは?とか、ちょっと考えてしまうよね。

 

機会があれば、又吉さんの「劇場」という作品も読んでみたい。

 

それでは。

 

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 

劇場

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