原田マハ
ご存じだろうか?
何者か?
御年56歳の女性作家だ。
新聞を読んでいて、2019年の直木賞候補者の氏名を見つけた。どの方の名前も知らなかった。僕は、月に10冊は本を読むが、主にビジネス関連の本を読むことが多い。
以前は小説ばかりだったが、ここ10年は小説の類は読んでいないので、トレンドに関しては疎い。伊坂幸太郎がデビューして、世間に衝撃を与えていたぐらいの時期で止まっている。
原田マハ
インパクトは大である。
「マハ・・変わったネームだな?」
「マハ・・どんな意図があるのか?」
「マハ」が頭から離れない。「マハ」が気になって仕方がない
「マハ」で検索してみた。
●原田マハのウィキぺデイアを見て驚いた
以下、ウィキペディアからの引用だ。
原田 マハ(はらだ まは、女性、1962年7月14日 - )は、日本の小説家、キュレーター、カルチャー・エッセイスト。東京都小平市生まれ。小学6年生から高校卒業まで岡山県岡山市育ち。岡山市立三門小学校、岡山市立石井中学校、山陽女子高等学校、関西学院大学文学部日本文学科、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館に勤務後、2002年にフリーのキュレーターとして独立。
2003年にカルチャーライターとして執筆活動を開始し、2005年には共著で『ソウルジョブ』上梓。そして同年、『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞、特典として映画化される。mahaの名でケータイ小説も執筆する。キュレーターの経歴とも相まって、美術を題材とした作品が多い。
①原田マハの経歴とバックボーンに驚いた。
この方の創作・創造の素地は、「美術」にある。
なんと、キュレーター(学芸員)経験値がある。キュレーターとは、美術館に勤務し、企画展の展示、美術品の、保存、収集に携わる職業の人だ。
企業の私設美術館の設立に携わり、あの森ビルの「森美術館」の設立の要として活躍した後、フリーのキュレーターとして独立するまでに活躍されている。
さらに、フリーのキュレーターとして独立した矢先、作家デビューまでしている。
41歳で執筆を開始して、43歳の2005年に『カフーを待ちわびて』を上梓した。見事処女作で、第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し2006年作家デビュー。以降、2012年に山本周五郎賞受賞をはじめいくつかの賞を受賞。
直木賞候補にノミネートされるのは、2012年、2013年、2016年、2019年、今年4回目となる。
41歳で初めて小説を書いて、この勢いと活躍っぷりに驚いた。
上で、引用しておきながら申し訳ないが、原田マハのことが気になった方は、是非とも下記の公式サイトにて、彼女の歩みを追ってほしい。
ウィキペディアでは伝わらない、彼女の息遣いや熱量が伝わってくる。
パワフルな女性なんだと感じられるだろう。
➁原田マハの実兄に驚いた。
小説の類を読まれる方ならご存知だろうか?
原田マハの実兄は、「原田宗典」である。御年60歳。
原田宗典と言えば、ゆるく・楽しいエッセイを書く作家だ。デビューは小説だったように記憶している。
僕の記憶に残っているのは、「東京困惑日記」、「スバラ式世界」、そして「17歳だった」である。日常にあふれる題材を、ユニークな視点で切り取っている。
僕が、中学生の頃に読んだ、「十七歳歳だった!」は非常に興味深かったという印象があるものの、中身がどんなものだったのかは覚えていない。一本のエッセイが人の人生に与える影響はそんなもんだろう。
本の装丁のイラストもゆるくて好ましい。
2013年に、薬物で捕まったようだが、最近復活を遂げている。
●原田マハの本を読んで驚いた。
僕は、上記までの情報をインプットして、図書館に向かった。
検索機に「原田マハ」と打ち込んだ。貸出可能な作品が5つヒットした。図書館内を探して回り、冒頭20ページづつ読んでみた。
貸出可能な5つの内3つは小説ではなく、印象派の絵画の解説本や、大作を生み出した作家の生い立ちの秘密を解いていく、そのような本だった為辞退した。
結局、デビュー作の「カフーを待ちわびて」と「異邦人(いりびと)」の2冊を借りることにした。
2作品とも面白く、個人的には10年ぶりの小説だったのもあるが、寝る間も惜しみ、常に持ち歩き、暇さえあれば読んでいた。
カフーを待ちわびて
「カフーを待ちわびて」は恋愛小説だ。日本ラブストーリー大賞を受賞し映画化されただけのことはある。シンプルに面白い作品だった。
沖縄の近隣諸島で、ゆるく生活をしている男の元に、「私をお嫁さんにしてください」という主旨の手紙が届く。手紙の差出人が島に乗り込んで来て共同生活が始まる・・という流れで物語が展開されていく。
若干、受け入れ難い設定に違和感を感じつつ読み進めていくと、しっかりとヤマもオチも、どてん返しもあり、泣き所もあり、楽しむことが出来た。
異邦人(いりびと)
原田マハにしか書けない作品かもしれない。
舞台は京都、天才画家を巡り、様々な関係者(大金持ちや権力者)が翻弄されていく様を、表現力豊かに描いている作品だ。また、原田マハの美術に関する造詣の深さや、作品への表現や愛情が、この作品をより完璧なものに昇華させていると感じた。
原田マハの持つ、美術に係る人間としての素地が、この作品に丁度美術館で絵画を見るときのような静謐な雰囲気を読み手に与えてくれる。美術が好きで、京都が好きで、小説が好き、なら面白い作品と感じられるかもしれない。
ちなみに、僕は京都居住歴があり、美術館や寺社仏閣が好きだ。つまり、この作品の読み手としては、フィルターがかかっている。客観的にこの作品を振りかえって
作品のストーリー構成(起・承・転・結)+(破・急)で言えば、「転」が弱い。 この作品で言えば主人公と天才画家が出会い、二人が急接近していく流れが弱い。
その後、主人公と天才画家との関係が明らかになり物語はブレイク(破➡急)していくのだが、「驚きの要素」が無駄に多かった。そんなに驚きを入れなくても良いので物語の収まりを、もう少し丁寧に描いてくれたらよかったと思った。
それでも、作中に現れる「見えるはずのない傑作の絵画」を、読み手に想起させる表現力はすごい。
本や絵画が好きな人は興味を持って読める作品だ。
●161回 2019年直木賞の行方
さて、どの作品が直木賞を受賞するのか?正直、あまり興味はない。
ただ、僕は、原田マハにハマっているということだ。
なんか文字にするとややこしい。
これをきっかけに、彼女の作品を深く掘っていきたいと思った。