幼稚園年長の息子。
彼の夏休みが、昨日終わった。
その日、僕は代休を取得しており、息子と2人っきりだった。
妻は、月一の定期検診に行った。もう4カ月もないのだな・・。
息子に、この夏一番の思い出は何かと問うてみた。
「市民プール」と「姪っ子家族とのBBQ」とのこと。なんだか味気ない。
息子に、この夏やり残したことはないか?と問うてみた。
「セミやとんぼを捕まえることが出来なかった」とのこと。いいぞ子供らしい。
「おう、ザリガニ釣り行くぞ」
息子は目を輝かせた。
「ホンマに!?釣るの!?捕まえるじゃなくて?釣るの?どこで?釣り竿は?」
落ち着け落ち着け。
気持ちはわかる。ザリガニ釣りはいつだってエンターティンメントなんだよ。
僕は、ザリガニが何処で釣れるかは知らない。
しかし、先週妻のお友達がザリガニを捕まえたという話を思い出した。
妻に聞いてみようということになり、スマホを手にした。
妻から届いていたメールなどお構い無しに。
光りの速さで、入力をし送信した。
もう、我々男二人の頭の中はザリガニでいっぱいだ。
もう、ザリガ二が釣れるイメージしかない。
男とはそういう生き物だ。
ザリガニザリガニ、ザリガニザリガニ、ザリガニザリガニ・・・
妻:「赤ちゃん元気だったよ。先月よりも二倍ぐらいの大きさになっているみたいで、今日のエコー写真ではね、指が5本はっきり見えたよ(^^♪」
俺:「ザリガニ何処におる?」
妻:「ひどーい(^^)ザリガニじゃないよ♪ しいて言えば、おさるさんだよ♪」
俺:「ちゃうちゃう、ザリガニ釣りに行きたいねん。どこにおる?」
妻:「知るか」
・・まぁ、そうなるな。
第二子の成長を分かち合おうとせず申し訳なかったと詫びた。
父親として息子にザリガニを釣らせてやりたいと熱く語り、釣り場を教えてもらった。
道具の準備にかかる。
いつの時代も変わらない。タコ糸と、ちくわと、ソーセージで釣れる。釣り竿のようなものは、割りばしで代用すれば十分だ。
釣り場に行き目を凝らす。ザリガニが8匹程居た。
ザリガニは足音に敏感だ。さらに、光にも。
自分が作り出す影にも注意してほしい。
太陽の位置を確認して、えさをつけたタコ糸を、そっと水面に落とす。
ザリガニが足で餌を掴んだぐらいであわててはいけない。
ザリガニがあの大きなハサミで糸を掴むまで引いてはいけない。
しっかりホールドさせ、引き上げるのだ。
1時間の釣果は、2匹だ。立派なアメリカザリガニだ。
僕も息子も満足だった。父親の威厳ここにあり。
我々は意気揚々と帰宅した。
帰宅していた妻にザリガニを見せた。
息子は「名前は、トランプちゃんにするで」と得意満面に話している。
その刹那。僕は妻の表情が翳ったのを見逃さなかった。
理由を問うと、妻がスマホを差し出してきた。
ザリガニ釣り場を教えてくれたママ友とのLINEのやり取りだ。
そこに一つのURLがリンクされていた。
2020年11月よりザリガニの飼育禁止
引用:バズプラスニュース様
https://buzz-plus.com/article/2020/08/21/crayfish-specific-alien-species/
環境省のHPでも確認した。
この夏、政省令が改正される。もう最終段階とのこと。
画像引用:環境省 外来生物法
飼育かごの中で愛でるだけで、一年以下の懲役または罰金100万円とは・・。
息子には、丁寧に事情を説明したが、ここ数年見たことが無いほどの駄々をこね、泣きわめいていた。過呼吸になり、少しゲボをしてしまった。
トランプちゃんとのお別れは僕一人で行った。
皆さまも、ザリガニにはご注意を。